2018年1月14日(日)

▼「盗人にも三分の理」などと言うと、いささか品がなくなるが、ルール違反が発覚した越境入学をルールの緩和で認めるという新制度が県立高校入学者選抜制度検討会で合意されたことを受け、保護者の転居を伴わない県外の生徒を受け入れることが可能かどうか、県教委が越境枠を設ける25校に聞き取るというので、ちょっと連想してしまった

▼教職員が仮の就職先を紹介するなどしてルール破りを手助けしていた、すなわちとっくに練習済みの高校に、県教委が、改めて保護者の転居を伴わない受け入れが可能かどうか確認する。盗人を捕らえた警察で「落としの○○さん」などの異名のある取り調べの名人が、三分の理に丁寧に相づちなどを打ちながら、思いを共有して更生へ導く構図と似ていないか。相手の反応は分かりきった上での手順である

▼パブリックコメント(意見公募)の結果は、安全確保を求める声が多かった。検討会はそれを踏まえ、新制度に生徒の安全確保に関する具体的な対応を追記するという。こちらは泥棒を捕らえて縄をなうか。生徒の安全確保をパブコメで指摘されて追記するとは、開いた口がふさがらない。一連の経過がドタバタ喜劇に見えてくる

▼県内の学区外からの入学も、県外からの越境入学と同じ扱いというのも、そのことを物語る。「意見公募では新制度に賛成が多かった」と県教委高校教育課。57人からの162意見が県教育施策のお墨付きになることに恥じらいはない

▼eメールを併用せず、正反対の結果が出なくてよかったと議会から声がかかるかもしれない。