2018年1月11日(木)

▼五人が死亡した三菱マテリアル四日市工場の爆発事故から四年目の「安全誓いの日」式典。同工場事務棟前に設置された安全誓いの碑の前に竹内章社長はじめ幹部社員らが整列。工場長が碑文を読み上げ、社員たちも「ゼロ災でいこう。よし」の「ゼロ災唱和」をして再発防止を誓った

▼その姿勢に疑いをはさむものではないが、ちぐはぐさが気になるのは、同社が子会社のデータ改ざんを制御できず、解明を第三者委員会に丸投げし、社長が責任を回避するかの発言を続けていることと無縁とは言い難いかもしれない。が「当社グループは『私たちは安全と健康をすべてに優先します』を行動規範としています」を事故の教訓としながら、式典に社長の出番がないというのは奇異な感がしないか

▼式典後の慰霊式が非公開というのも首をかしげるが、その席では何らかの発言があったか。でなければ「社長以下管理監督者の『陣頭指揮・率先垂範』のもと、『従業員の全員参加による安全衛生活動』を実施する」とした「全社安全衛生管理基本方針」の肝心な部分が抜け落ちている

▼行動規範の〝すべて〟とは「環境」「品質」「安定生産」と並ぶグループ全体の概念として位置づけられている。「品質」や「安定生産」とも「グループ全体」とも、分けて考えることはできまい

▼予見可能性があったとして当時の現場責任者を対象にした県警の書類送検は、嫌疑不十分で不起訴処分になった。嫌疑なしではない。社長が陣頭指揮をしなかった式典は安全の誓いに一抹の懸念を抱かせ、一連の不祥事を象徴している気もする。