<まる見えリポート>パールズ、来季は総合Vへ ラグビー女子7人制で悲願の昇格

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2017入替戦で優勝を決めて喜ぶパールズの選手ら=11月、横浜市で】

ラグビー女子7人制の国内サーキット「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」の入れ替え戦が11月18、19日の両日、横浜市の日本体育大・健志台キャンパスであり、三重県四日市市を拠点に県ラグビー協会が昨年本格始動させた女子ラグビーチーム「パールズ」が初優勝した。来季は年間総合優勝を懸けて同シリーズに常時参加する「コアチーム」の一員として国内を転戦する。

(二反田恭子)

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同シリーズコアチーム昇格への挑戦は2年連続2度目。昨年の入れ替え戦は7月に行われ、5月の本格始動から半年も満たない中で出場したパールズは予選リーグこそ勝ち上がったが、昇格トーナメント準決勝で石見智翠館高(島根)に敗れ、コアチーム入りが許される上位2チームに残ることができなかった。

2回目の入れ替え戦に向けては「地に足をつけたチーム作り」を目指した。大阪・啓光学園高(現常翔啓光学園高)男子ラグビー部元監督の記虎敏和氏を昨年からトップチーム監督に迎えており、目標に掲げる、グラウンドを大きく使う展開ラグビーの実現に向けて基本に忠実なプレーの徹底に努めた。

体力向上を目的に今年4月には和歌山県で強化合宿を敢行。砂浜での走り込みなどで強じんな足腰を作った。セブンズ日本代表入りの経験がある伊藤絵美主将やゲームキャプテンの大島千佳選手らが中心となってチーム内の戦術理解も進んだ。

補強も効果的だった。入れ替え戦ではニュージーランド、オーストラリアから代表クラスの選手7人がチーム入りし、身体の強さや突破力で大きな戦力になった。大半はスポット参戦だったが、一部の選手はこの春からチームに帯同。チーム編成に携わった斎藤久ゼネラルマネジャーは「(最終的に)国籍関係なく純粋なワンチームになっていた」と評価する。

11月11、12日には、招待チームとして参加した今季同シリーズ最終戦・富士山裾野御殿場大会を制して勢い付いた。続く入れ替え戦では、昇格トーナメント準決勝で今年の同シリーズ総合10位のRKUラグビー龍ケ崎GRACEを24―5で逆転勝ちして上位2チームに入り昇格を決めると、決勝で石見智翠館高を29―0で破り、昨年の「リベンジ」を果たした。

準決勝では降格を阻止しようとするGRACEに意地の先制トライを決められたが慌てることなく逆転し、春からチームに帯同していたダールス選手や15人制女子日本代表の齊藤聖奈選手らが得点を重ねて突き放した。記虎監督は「これまで先に点を取られるとメンタル面を立て直すまで時間がかかった。地力が強くなったと感じた」と話し、選手の成長を実感していた。

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支援の輪も広がる。四日市市の中高一貫校、四日市メリノール学院はパールズとパートナーシップを提携。今春発足した女子ラグビー部強化への協力を仰ぐとともに、同校のラグビー専用グラウンドを練習場として提供している。サポート体制も年々充実。メディカルトレーナーやアシスタントコーチなど常勤スタッフも増えて選手らの活動を後押ししている。

周囲の支えには結果で恩返し。伊藤主将は「このシーズンでチームの経験値が上がった。来季は年間総合優勝を目指す」と意気込む。「目の前の大会を一つ一つ戦うことで結果がついて来る」と話す記虎監督は「他チームに研究されても覆す地力を付けたい。展開ラグビーの精度を高めてしぶといチームを目指す」とさらなる進化を誓っている。