<まる見えリポート>鈴鹿市と菰野町、都心で販促 「旅するマーケット」三重県内初出展

【湯の山温泉の足湯につかりながら来場者らと談笑する末松市長(右端)=東京都港区の「旅する新虎マーケット」会場で】

東京都港区の新橋と虎ノ門を結ぶ新虎通りで開催中の「旅する新虎マーケット」に、鈴鹿市と菰野町が県内自治体で初出展した。首都圏でのシティセールスに積極的な鈴鹿市では、地域資源活用課の曽我正彦GL(49)が「市のPRも大切だが、地域資源を形としてつなげていくことも大事」と話す。

(蔵城洋子)

 同マーケットは今年2月に東京都道で初めて路上に設置された商業施設で、3カ月ごとに出展自治体が変わる。3年後の東京オリンピック・パラリンピックに向け、全国各地の魅力をPRしようと「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合」(会長・國定勇人新潟県三条市長、466自治体)が主催。石原正敬菰野町長は会長代行、末松則子鈴鹿市長は副会長を務める。末松市長は「成功例となって後続自治体につなげたい」と意気込みを見せる。

会場は自治体ごとの特色を生かした食事施設「旅するスタンド」、三越伊勢丹が各地の特産品を販売する「旅するストア」、各出展自治体の食材を使ったメニューを提供する「旅するカフェ」で構成し、これまでに10市町村が登場した。週末は会場付近の超高層複合施設ビル「虎ノ門ヒルズ」の高級ホテルに宿泊する欧米富裕層や周辺タワーマンションの家族連れ、平日はヒルズ内企業で働く会社員と多彩な客層が集う。

鈴鹿市と菰野町は10月4日から12月27日まで秋の部を担当。「工芸」をテーマに両市町のほか新潟、鹿児島両県の6市町村が参加している。

鈴鹿市はブランド豚「さくらポーク」を使ったお茶しゃぶしゃぶなどの料理や伝統工芸の伊勢型紙と鈴鹿墨。菰野町はブランド豚「菰錦豚」と僧兵味噌のもつ煮込みうどんなどの料理や伝統技能の菰野ばんこでPRする。

先月13、14日は合同オープニングイベントを開催。鈴鹿市は鈴鹿墨や伊勢型紙の体験講座や鈴鹿抹茶の振る舞い、菰野町は開湯1300年を迎える湯の山温泉の足湯などでPR。14日は末松市長が現地を視察し、足湯につかりながら来場者と交流した。

2日間で約5千人(主催者発表)が来場。足湯を楽しんでいた都内板橋区の会社員・田口智子さん(42)は「伊勢神宮に行ったことがある。菰野町や湯の山温泉は初めて知ったが、いいお湯で気持ちよかった。鈴鹿といえばサーキットかな」と語る。

鈴鹿墨の体験講座に参加した埼玉県所沢市の会社員・木村友美さん(39)は「墨の色がきれいで驚いた。鈴鹿はサーキットのイメージで、伝統工芸には結び付かなかったので、少し興味が出てきた」と話していた。

初日から10月22日までの各飲食施設集客数は、菰野町が774人で、1日あたり約46人。4ブース中1位という。鈴鹿市は631人で1日あたり約37人。菰野町観光産業課の東村宗尚係長(43)は「同じ三重県勢として一緒にPRできれば。両スタンドで使える共通クーポン券を発行し、てこ入れしていきたい」と話す。
、曽我GLは「1カ月の目標値はないが週末の台風など悪条件の中、順調に感じる」と受け止め、「鈴鹿の食材を東京で使ってもらうことは市場拡大にもつながり、地元生産者のメリットは大きい」と期待。

また、「今回の企画を通じて単独ではなかなか接点を持てない大手百貨店と直接交流できたことも大きい、他自治体との親交も現場で生まれた」と来場者数などの数値では計れない貴重な付加価値を挙げ、「今回のレシピを使った料理を地元でも食べられるようにできたら」と新たな取り組みを模索する。

今月17、18両日、会場で市のPRイベントを実施。鈴鹿市は和菓子の手づくり体験、菰野町は好評だった足湯を再登場させる。