2017年10月15日(日)

▼高レベル放射性廃棄物最終処分場の調査対象地域を示した経済産業省の「科学的特性マップ」公表を受けて、三谷哲央議員が県議会で「調査を受け入れる考えがあるのか」

▼公表は7月。「県内に受け入れない考えに変わりはない」というのが当時の鈴木英敬知事のコメントだったが、前置きに「国民理解が得られていない現状では」とある。国民の理解が得られる状況になれば受け入れるのか、という質問だ

▼何しろ経産省は、原発立地自治体を対象とした国の補助金を報道発表せずに原発30キロ圏に拡大していた。「原発の影響が周辺にも及ぶことが分かり仕組みを見直した。再稼働への同意を得る目的ではない」というのだが、芦浜原発計画でさえ同意の必要は立地自治体から隣接二町へと拡大していた

▼政府の原発立地政策とは具体的には補助金の積み増し以外にないと言っても過言ではない。NUMO(原子力発電環境整備機構)の地下埋設構想も、科学的根拠明示へ方針変更するまでは、補助金で釣ろうとしていた

▼鈴木知事が、しらじらしい説明の経産省出身だからということではむろんない。「県民の声」への回答で雇用経済部は「国民理解」のあとに「地域理解」を加えている。「地域の理解を進める」は、県が芦浜原発推進を地元に働き掛けることの大義名分だった

▼「受け入れについて議論することさえ困難」という知事答弁は一歩前進と言えよう。芦浜原発計画白紙撤回から19年。地元ではいまだかつての推進、反対両派の確執が消えないという。原発の後遺症は福島の地元並みと言えなくもない。