2017年9月5日(火)

▼いわゆる「ごみ屋敷」の住民は全国的には地域や行政の支援を拒む人が珍しくないという。テレビでも攻撃的な行動がよく映されている。報道陣の傍若無人さが原因とばかりも言えまい。伊勢市の男性も「誰かに手をさしのべてほしいと思う半面、そのままでもいいと思っていた」。衰弱してふらふら歩き、警察官に保護されなかったら掃除に同意していたかどうか

▼「最初は売るつもりで集めた」雑誌類に埋もれて収拾がつかなくなり、生活ごみで足の踏み場もなくなり、家の外にあふれ出した。自分は軒先に雑誌などで作った「かまくら」で寝泊まりする。似たような光景は、男女を問わず若い独り暮らしの記者のアパートでもよく見聞きした

▼多くは新聞の切り抜きが多忙の中で追いつかなくなり、捨てるに捨てられずたまり始めるのがきっかけ。ある瞬間から切り抜きも掃除も放棄してしまい、惰性だけで新聞を積み重ね、生活ごみの散乱するのを気にしないようになる。寝る場所だけ確保し、他人に見られるのを極端に嫌う

▼伊勢市の男性が「ごみ屋敷」の住人の平均的考え方をしているかどうかは知らないが、社会との「(交流があれば)こんなことにはならない」と話しているという。額面通りに受け取れば病的な習慣性がありそうではない。確かに「誰でも陥る恐れ」があることなのかもしれない

▼行政がどう関わるかはともかく、受け身に構えていて解決できるものではあるまい。総合型リゾート施設(IR)制度案と同様、単にギャンブル依存症の相談体制を整えたからといって効果がでるものではない。