2017年8月17日(木)

▼全国戦没者追悼式で、三年連続で「深い反省」との文言が入ったお言葉を読み上げられた天皇陛下と、「戦争の惨禍を繰り返してはならない」と不戦堅持に言及しながら、アジア諸国への加害責任に今年も言及しなかった安倍晋三首相に、国民の二極化を見る

▼今年も、原爆投下の日を含め、終戦日の前後に戦争の悲惨さ、平和を訴える報道が、待ってましたとばかりに大量に掲載、放送された。読者・視聴者は、粛然として戦争の風化に危機感を新たにし、語り継ぐことの大切さに思いをいたす人と、またか、もう結構だと背を向ける人に分かれている気がするのである

▼NHK・ETVが「告白/満蒙開拓団の女たち」を特集し、ソ連兵に「接待」役として差し出された女性たちの証言を伝えた。声を上げたのは女性で、記録も残されていたが、封印したり、日中友好に働いていたのが男たち。女性たちの気持ちを思うと口にできなかったという

▼作詞家・小説家のなかにし礼さんが引き揚げ体験を語っている。ソ連侵攻を前に関東軍が真っ先に逃げ出した。コネのあった母親が交渉して逃亡列車にもぐりこんだ。押し寄せる避難民を置き去りにし「後ろめたい思いがずっとあった」

▼戦争体験を語ることからずっと「逃げてきた」のはこの後ろめたさが大きかったのではないか。評論家の保阪正康氏が戦争記録の中で一兵卒の証言が少ないと書いていた。それぞれの後ろめたさが、二度と思い出したくない気持ちをより強くしているのではないか

▼天皇のお言葉と安倍首相の式辞にそれぞれの思いの違いを見るのである。