2017年8月1日(火)

▼徳島県教育委員会で性的マイノリティーをテーマに人権教育相談員を務める30代の講師が、性同一性障害で女性から性を変えた20代男性に200万円の高額起業家育成セミナーへ勧誘していたという。徳島県教委も、なかなか抜け目のない人物を相談員にしていたものだ

▼「徳島県教委も」というのは、むろん「県教委も」を前提にしている。平成20年、高校生の就職を支援するキャリア・コーディネーターに採用した男が、訪れていた高校の女子生徒を誘拐して身代金を要求する事件を起こした。県教委は、産業カウンセラーや企業での採用担当経験などを資格要件としていたが、人材派遣会社に「丸投げ」してノーチェック。履歴もでたらめだった

▼労働者派遣法上、派遣を受ける側は事前に本人の経歴を調べることができないという事情が県教委にはあった。「反省し、再発防止の検討をしたい」というのが当時のコメント。越境入学問題で、教職員らが保護者に就職先を紹介するなど、規則の抜け穴をくぐらせていたことに対し、廣田恵子県教育長は「有償で紹介するなど、法律に触れるようなことではない」。労働法の抜け穴をしっかり検討した成果ということか

▼処分を問われて「教職員にも責任はあるが」と抜け穴破りを認めつつ「確認していなかった県教委に重い責任がある」と、責任を分散してどちらの処分もあいまいにし、有識者会議を設けて、責任とは方向違いの議論をむにゃむにゃと進めている

▼施策で責任問題にフタをする。ほとぼりを冷ますのが行政のこのところの常とう手段になっている。