2017年6月28日(水)

▼「ご都合主義」の例をあげよと問われたら、県教育委員会の「越境入学始末」と答えれば、社会科のテストは満点ではないか。「その時々の都合で言動や主張に一貫性がないこと」「製作者側に都合よくストーリーを進行させる技法」という意味にぴたりだ

▼発覚当初、県教委は「県内の学生の教育機会が失われる」と各校に改善を求めた。県立高校は県民の税金で運営しているとして、県外生徒へ門戸を開くことには問題があるという立場だった。鈴木英敬知事に全校調査をしないことを批判され、その指示で調査に踏み切ったころから「違反状態の解消」を口にするようになった。116人の違反生徒がいることが判明した調査結果を発表した時には「保護者の代わりに保証人を設定」という何だか思いつきみたいな抜け穴を確保して「違反解消策」にした

▼「ベストではない」と評したのは鈴木知事。「どんな保証人で、生徒の生活や安全に責任を果たしうる体制か」と、税金の目的外使用は棚上げし、生徒の将来に配慮する次善の策で妥協するという考え方を示した。廣田恵子教育長は「6月末までに違反状態を完全に解消」と、保証人策がベストのような言い方をした

▼越境入学の条件をクリアするため保護者に形ばかりの就職先などを紹介した教諭らには県立高は県民のためにあるという考えが前提にあったに違いない。保証人設定策は、そんな県立高の趣旨などお構いなしで、保護者を保証人に変え、黒を白に塗り替える語呂合わせみたいな作為を感じる。同じご都合主義、抜け穴探しでもどちらがより悪質か。