2017年6月3日(土)

▼ヤマハ音楽振興会(東京)など音楽教室を経営する団体で構成する「音楽教育を守る会」が、著作権使用料を徴収する方針の日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し、支払い義務がないことの確認を求めて提訴することを決めた

▼デジタル時代を受けて、著作権法は刻々変化している。大手IT企業が運営する情報サイトに無断転用記事が大量にあることが発覚して大問題になったばかりだが、「守る会」側の主張は法解釈の問題。音楽教室の演奏は「聞かせることが目的」ではなく「手本を示すため」、すなわち教育目的だから著作権の適用外という

▼著作権法は学校教育や営利を伴わない演奏などには権利が及ばないとしている。「営利を伴う」とするJASRACとの間でそれぞれ現実的主張を展開し、司法判断を仰ぐことになるのだろうが、その行方を別にして、公的機関の無断使用や公的使用だから許可は当然という口ぶりに接してきた立場としては、公的機関ほど、著作権を守ろうという意思に疑問に感じることが多かったからだ

▼記事の前後を入れ替えただけでそっくり無断で広報紙に掲載されたことがある。共同通信も、著作権の複雑に入り組んだ写真や画像を含む記事の無料使用の連絡に困惑する現状を社内報で報告していた

▼青少年への音楽教育に音楽教室が果たしてきた役割は大きいに違いない。著作権料のコスト増は授業料に反映するのだろうが、創作物の継続のため著作権は欠かせない。法解釈ではなく、どうすれば優れた音楽を共有できるか、関係者が誠意をもって話し合う問題の気はする。