2019年2月26日(火)

▼個別の政策の選択を問う住民投票で、賛成、反対に「どちらでもない」を加えた3択としたのは異例なことに違いないが、それによって参加を拒んでいた5市が歩み寄ったのだから成功と言わなければなるまい

▼地元紙によると、沖縄県名護市辺野古への米軍基地建設問題は沖縄県議会で、自民党が「普天間飛行場移設のための辺野古埋め立てはやむを得ない」「反対」「どちらとも言えない」の3択案も提案した。より民意を吸収できる案ではあった

▼「37年もの間地元住民を苦しめてきた」というのが平成12年、北川正恭知事が芦浜原子力発電所建設計画を白紙撤回した理由の一つだった。地域、友人はもちろん、親戚家族まで分断したしこりは今も残る。人ごとではない

▼一昨年12月、普天間飛行場近くの保育園に米軍ヘリの部品とみられる物体が落下したが、米軍は認めなかったため、警察は事件化できなかった。数日後、今度は普天間第2小学校に米軍ヘリの窓枠が落下し、児童1人が軽傷を負った。県が抗議したが、米軍は6日間、飛行を中止しただけだった

▼米海兵隊輸送機オスプレイ墜落事故の陰で、こちらではあまり知られぬ深刻な事故が少なくはないのだろう。米兵らの裁判権は、かつて法相の直接指揮権とする日米処分規定があったが、ある段階で削除された。日本側が裁判権を行使しなくなったからという

▼オスプレイの陸上自衛隊明野駐屯地常態化の可能性で、日米地位協定がもたらす沖縄県民の怒り、無力感が身近に迫ってくる。住民投票結果が民主主義の防波堤となることを願いたい。