2019年2月16日(土)

▼津市主催の市立体育館の地鎮祭で、神官への謝礼に公費が支払われたのは政教分離を定めた憲法に違反するとして、津市議が昭和40年提訴した地鎮祭訴訟は、一審津地裁の棄却判決を経て46年、二審名古屋高裁は違憲を言い渡し、にわかに全国の注目を集めた

▼最高裁大法廷は世俗的習慣として合憲判決を下したが、5判事が反対意見を述べ、政教分離の判断基準として確立。平成9年、愛媛県靖国神社玉串料訴訟での最高裁の違憲判決につながったといわれる

▼議会常任委員会の視察を「財政ひっ迫の折でもあり、やめるべき」と主張して参加しなかった名張市議が、市議会の厳重注意処分を不当とした訴訟で、あっさり棄却した一審津地裁を二審名古屋高裁は取り消した。「反対する議員に参加義務はない」と真っ向否定したのだ。議会は一審判決後辞職勧告決議までしている。逆転の最高裁判決で、さぞほっとしているのではないか

▼昭和35年の最高裁判決は、議員の身分に関わる重要事項として、議員の除名処分を司法で扱う理由にした。それ以外は司法審査の対象としないという理解になっている。二審判決に対し、名張市議会で「議会に司法が立ち入ることは無礼」「議員に注意もできない」などの批判があがったのはそのためだろう

▼地方自治法が議会の裁量権を認めているのは選挙での有権者の判断を尊重しているためだが、政治抗争や見せしめかなど首をかしげる処分も少なくない。何をしてもいいではなく、岡山、福岡両県への視察が本当に必要だったか、点検してみる謙虚さも必要でないか。