<地球の片肺を守る>コンゴ環境省次官にあいさつ 謙遜不要、精いっぱいの背伸び

【コンゴ環境省次官(左から2人目)に着任のあいさつをした筆者(同3人目)=次官室で】

ボンジュール!コンゴ環境省に赴任して、早2カ月がたとうとしています。今回は少し時間を遡って、当地での仕事始めについてご報告させていただきます。

きっと多くの読者の方々が、いったい全体、どうして日本の公務員がアフリカの国の政府職員として働いているのかと不思議に思われていることでしょう。実は私はコンゴ政府から日本政府への正式な要請に基づき、日本政府が行う国際協力(ODA)の一環として、国際協力機構(JICA)を通じて派遣されました。

皆さんは日本政府のODAというと何を思い浮かべますか。鉄道、空港や道路などのインフラ整備、日本の得意とする稲作技術の普及などをイメージされる方が多いのではないでしょうか。これとは別に、途上国政府の職員となって政策立案などを支援する個別専門家(政策アドバイザー)と呼ばれる援助が存在します。

気候変動問題が先進国・途上国を問わず地球全体で取り組む必要がある「地球規模課題」であることは既に説明させていただきました。今回、私はコンゴ政府が取り組む森林・気候変動対策を支援するため、環境省の次官付きの政策アドバイザーとして派遣されたのです。

ちなみに、同省が日本人をスタッフとして受け入れるのは今回が初めてとのこと。皆さんの職場に社長直属の技術顧問として、いきなり外国人がやってきたらどうでしょう。私は今、そういった状況におかれている訳です。

コンゴに到着して数日後、上司となる次官に着任のあいさつをする機会が早速設けられました。JICAコンゴ事務所長から私の経歴をご紹介いただいた後、私から「自分はこの分野では日本で最も優れた専門家の一人である。この私が貴国に派遣されたということは、すなわちわが国として貴国が抱えるコンゴ盆地の熱帯林の保全を大変重要に考えている証である」と付け加えました。

気が付けば私もアフリカ赴任3カ国目。これまで大臣、村の酋長、賄賂を要求してくる悪徳警察官から貴重な森林を破壊する違法業者まで…さまざまな立場の人々に揉まれることで、蚤の心臓も多少は太々しくなったようです(笑)。

アフリカでは謙遜は不要。さまざまな不安が頭をよぎりましたが、そういった表情は一切見せず、精いっぱいの背伸びをして次官と固い握手を交わしました。心持ちか彼の表情が満足げに見え、私自身ホッと胸を撫で下ろすことができました。

【略歴】おおなか・こうさく 昭和49年生まれ、伊勢市出身、三重高校卒。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。