2018年4月17日(火)

▼「多選批判」があった亀井利克・名張市長の政策の柱に「生涯現役」があるのには笑った。ユーモアのセンスは聞かないから、本紙の「まさか自らの市長継続では」という冗談から駒は出まいが、反発が無意識に形になったのかもしれない

▼「市政はよどんでいない。どんどん新しいこともしている」と批判をかわしたという報道も。「いかに新しい知識を吸収し、進取の精神を持ち続けるかだ。多選は関係ない」という田川亮三元知事の反論を本欄で書いた。似て非なり、と言えようか。「どんどん新しいこともしている」は知識の吸収、進取の精神とは別物。目先を変えているだけと受け取れなくもない

▼道路の補修要望にも応じきれない財政難、硬直化と花形団地の空洞化、職員の緊張感低下に伴う事務ミス多発―は本紙が連載した市の課題。深刻な現状を提示したが、「元気創造」「若者定住」「生涯現役」の三大公約にこれら課題を真正面からとらえた項目はない

▼「空き家の流通促進による移住と定住の増加」の公約は空洞化対策ではなく「若者定住」に分類されている。かつての花形団地の玄関口、近鉄桔梗が丘駅前に人通りがなく、商業施設が撤退していく。そんな地域の空き家流通促進が、若者にアピールするものかピンとこないのである

▼多発した不祥事のうち「温泉無料券問題」。市が負担した民間施設の無料券を来庁者らに配布。特定団体・市民への利益供与、公平性が問われたが、亀井市長は地域振興、市民サービスなどと反論した。似て非なり。市民感覚との微妙なズレが今も気になるのである。