2018年4月18日(水)

▼県警が昨年4月、生活安全部から地域部を独立させたのは、配属の中心となる若手警察官の育成強化も狙いの一つという(本紙『まる見えリポート』)。果たして狙いはうまくいくのかどうか

▼「しっかりした若手警察官を育てることが県民の安全安心にもつながる。これまで以上に他部門と連携を図って地域警察強化に努めたい」。担当部長の答えは、当然ながら紋切り型だが、「組織一元化により細部に指導徹底を図れるようになった」という再編効果は、滋賀県警の上司射殺事件を参照すれば、むしろ逆効果とならないか

▼男性巡査は警察学校を出てこの3月末に事件のあった交番に射殺した上司とともに配属されたが、単なる上司ではなく教育係だった。若手警察官のきめ細かな教育を体現した人事体制と言えなくはない。にもかかわらず、わずか2週間で「怒鳴られたからやった」と供述する事態に発展した

▼警察の教育訓練で、怒声はつきものと言われる。特に警察学校では指導も厳しい叱責調で、危険と背中合わせの訓練によっては罵声が飛び交うことも珍しくない。男性巡査はその中を同期の巡査らと励まし合いながら乗り越え、念願の警察官への第一歩を踏み出したに違いない

▼配属先が3人体制の交番で、新人は自分1人。2人のうち1人が正義感あふれる熱血指導係でマンツーマンの教育が続く。2週間という期間は、孤立した中で不満が爆発する十分な時間だったかもしれない。警察官がルールに野放図なのも困るが、交番という閉ざされた空間で、「細部に指導徹底」はほどほどにせねばなるまい。