’07

 新年の挨拶には、苦しかった昨年の思いを振り捨て、新しき未来について希望を持って語るものが望まれます。

 しかしながら、本年以降の日本社会を私なりに展望しますと、寄る年波のせいかあまり華やかな未来は語れません。

 新聞が他の全てのメディアと画然たる相違をみせるのは、「起こったこと・事実を伝えるに留まらず、知っておくべきこと」まで伝えるということであります。

 実現しないことをのぞみつつ、5―10年後の姿を望んでみます。

 昨年は、その前年12月に流行語大賞「想定内」を獲得したライブドアのホリエモンが、1月早々逮捕されるという劇的な幕開けで始まりました。

 昨年12月1日に発表された流行語大賞のトップテンには「格差社会」が入っております。「格差社会」とか「ワーキングプア」といった言葉は、流行語のように、泡沫(うたかた)のごとく消え去ってくれるでしょうか。それはむつかしいことでありましょう。

 自然地形的には、風水害・台風・地震の危険があり、地政学的には近隣諸国との領土争いがエネルギー資源争いもあり活発化し、人口的には、出生率の低下が人口減を予言しているのがわが国、日本です。付け加えれば、石油をはじめとする資源も乏しい国であります。

 国際情勢の幸運に恵まれた時期には、資源を持たざる国ゆえ一番安い資源を輸入して、加工貿易で富を積んだときもありましたが。

 本年も昨年に引き続き、年金と消費税の問題が、政治経済そして政局の最重要課題であることは間違いありません。消費税が8―10%値上げになったとき、景気はどうなるでしょうか。失業率はどうなるでしょうか。識者によりますと、消費不振からの不景気と、失業率の現在の4%から7―9%へのアップが見込まれています。
格差社会はますます進むといわざるを得ません。

 消費税の増税は必然なのでしょうか。現行の福祉の質を落とさぬため、景気刺激の財源に必要なのでしょうか。それでは、昨今の年間3万人を越える自殺者数の説明にはなりません。

■税を納める者と収める者の階級闘争の時代

実は、税金を収める側である国家公務員と地方公務員それに外郭団体・独立行政法人をいれおよびその家族を合わせると、6000万人になるとの計算があります。これは、納税者側の数字6000万人とほぼ拮抗(きっこう)します。

 消費税は数年後に10%に上がったとして、それで財政危機は峠を越すのでしょうか、更なる値上げが必要とされるのではないでしょうか。この公務員の人数削減・給与削減に手をつけぬ限り、いかなる増税も重箱の隅をほじくるだけの結果に陥ることは、賢い政治家の皆様は周知の事実であります。

 しかしそれは甚だ困難であります。今の民主主義政治では不可能に近いでありましょう。政治家は選挙という洗礼が怖い。選挙民の不人気をかうと落選の憂き目をこうむります。選挙のための政治活動か、政治のための政治活動か、政治家本人にも分からなくなる次第です。

 悲観的な目で見ますと、大改革を施さずに進めば、デフレ化は進み、シャッター街化はますます進み、緩慢なワーキングプア化は進み続け、IMF進駐による明治維新・敗戦時以来の3度目のご一新を待つしかないのかもしれません。

 あるいは納税者の反乱がそれまでに起こる可能性もあります。三重県民は、明治時代に、血税一揆を日本で最初に巻き起こした輝く歴史(?)があります。

 以上のことは、正月の悪夢におわって笑い話になることを願い、新年の挨拶とさせていただきます。どんな時代になりましても、皆様の健康があれば乗り切れます。三重県民の皆様が健康な一年をお送りすることを願ってやみません。