<ラストチャンス・皇大最強世代の挑戦>置かれた場所で咲く 役目全う、8年ぶり全国切符を

【主将の4年生・岡田(左端)。試合前のあいさつを待つ=4月、津市内で】

県内大学・高専最多の138人の部員を擁する皇學館大野球部。三重県リーグで連覇の記録を伸ばす中、部員も増えて2020年春入学の現4年生も入部当初30人超の大人数。その上、三重県内の強豪高の主力級や県外の甲子園出場高の出身者も名を連ね、関係者から「最強世代」と呼ばれた。そのうち19人がチームに残り、15年以来8年ぶり2度目の全日本大学野球選手権(6月・神宮など)出場が懸かる今月20日の春の東海大会優勝へ、それぞれの持ち場で力を尽くす。

4年生外野手、岡田一晟もその1人。俊足と守備力を持ち味に、甲子園の常連校、愛知・東邦高校に進学。高2春の甲子園は三塁コーチャーを務め、30年ぶり5度目のセンバツ優勝を支えた。

高校卒業後は進路を考えて教員の資格が取れ、神宮も目指せる皇学館大に進学した。代走、守備固めでの起用が続いたが、打撃の向上に伴い3年秋の県リーグで3番、右翼で初の開幕スタメン入り。今季はおもに7番、中堅で出場し、パンチのある打撃で下位打線の核として活躍した。

3年秋から野球部主将も務めている。2―4年の部員による投票の結果だった。名古屋市内の中学時代所属した硬式野球チームで務めたことはあるが、大所帯の野球部を束ねるのは初めての経験だ。

グラウンドの内外で率先して動く一方、大事なことは「皆で決めたい」スタンス。9季連続11度目の県リーグ優勝を決めても歓喜の輪を作らなかった今月2日の四日市大戦の前日には「(8年ぶりの春の東海大会突破に向け)何かを変えたい」と、整列を優先させることを提案し、快諾された。

大学での3年間を支えた言葉がある。2年当時、野球部の主将だった2学年上の中妻和哉さんがミーティングの時話してくれた「置かれた場所で咲きなさい」だ。入学後間もなくトップチームのメンバーに選ばれながら、打撃が振るわず、ベンチを温める時間が続いた時期だった。

「試合に出られない悔しさはあったんですけど、サブキャラであったり、置かれた場所で輝きなさいって意味だと思いました」。「1枚目のメンバーが活躍しやすいようなベンチワーク、声出しを」と心がけ、前向きに動けるようになった。

同学年の仲間にも支えられた。スタメンから再び外れた3年秋の東海大会は同学年のメンバーの励ましもあって、主将の役目を全うできた。入学から4年目のこの春、同期の半数以上が野球部に残り「野球が好きな奴が残った」と頼もしく思っている。

今いるメンバーで戦う最後の東海大会。「(スタメンの)9人だけで勝てるような試合には絶対にならない。チームで戦うことが勝ち抜く術」と感じている。毎日切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間には「今までやってきたことを素直に出す。2試合で倒れてもいいくらい全力でプレーしよう」と伝えるつもりだ。(連載おわり)