2021年12月23日(木)

▼歌は世につれ世は歌につれ、は万葉の昔からだが、「世につれ」は歌に限らず、諸事万端に違いない。不祥事教職員についての県教委の発表も、大げさに言えば不易流行。事案ともども相変わらずだなあと思わせる半面、時代とともに変化していくか

▼10歳未満の女児のスカート内を盗撮して懲戒処分を受けた46歳の中学校職員についてである。本人が「(関係各位に)迷惑をかけて申し訳ない」と語っているというのは定番だが、日ごろの仕事ぶりについて「真面目」「周囲の評判はよかった」などの説明はなかった

▼あまり度量の大きいところを見せるのも考えものと了見を入れ替えたか、教諭と違って学校職員だ、勤務状態に問題がないことを示さなくてもこちらに責任の火の粉が飛んでくることはあるまいと見極めをつけたか、それとも、職員のことはよく分からないか。学校現場のダブルスタンダードと無縁ではないのかもしれない

▼1億総カメラマンのスマホ時代である。盗撮への垣根もぐんと低くなった。「衝動的にやってしまった」という当人の弁明もまんざら言い逃れとばかりは言えない気もするが、とはいえ越える越えないに低からぬハードルはあろう。職場でのモチベーションが関係しているかはともかく、学校事務の全般という職務は、コロナ禍で高まることはあるまい

▼警察官の窃盗が頻発し、引きこもり、自殺者が増える風潮は世の中全般にじんわり浸透していよう。児童生徒に自尊感情を保たせるのは人権教育の基本だ。自己肯定感をいかに保たせるかはウィズコロナ時代の心がけである。