
【伊勢】令和15年の伊勢神宮の式年遷宮に向けた三重県伊勢市の民俗行事「お木曳」を1年後に控え、伊勢神宮外宮前の北御門広場で17日、行事への機運を高める「令和のお木曳フェス お木曳決起の会」が開かれた。
20年に一度、伊勢神宮の社殿などを一新し、ご神体を新殿に移す式年遷宮。お木曳は、その社殿の建て替えなどに使う御用材を、市内各地区で結成される「奉曳(ほうえい)団」が神宮に運び入れる行事で、550年以上前から受け継がれてきた。
会場では、雨空の下、33の奉曳団の子どもから大人まで計約200人が、行事に欠かせない木遣(や)り唄を順に披露。法被姿で壇上に立ち、団ごとに歌詞や節回しが異なる木遣り唄を威勢良く響かせた。

また、お木曳行事を伝える写真パネルの展示や、各奉曳団の紹介、行事で使う「采(ざい)」のミニチュアを作る体験などもあり、来場者らは楽しみながら伝統行事に触れた。

お木曳フェスは、行事を経験したことがない世代に伝統をつなごうと、各奉曳団の青年部有志らでつくる実行委が企画した。実行委の幹事奥野勇樹さん(45)は「行事まであと1年となり、『やるぞ』という意思表示。地域の伝統に誇りを持ち、次の世代につなげていきたい。伊勢が一つになり、行事に向け結束を固めたい」と話した。
お木曳は、令和8年5―8月を第一次、令和9年5―8月を第二次として、それぞれ期間中の週末に行われる。約70の奉曳団が結成される予定で、外宮には陸路で運ぶ「陸曳(おかびき)」、内宮へは五十鈴川をさかのぼる「川曳」で御用材を運ぶ。