元町職員に懲役7年判決 南伊勢町の1億7000万円横領 津地裁・三重

三重県の町立南伊勢病院を巡る巨額の横領事件で、業務上横領の罪に問われた元町職員廣出翔被告(41)に対し、津地裁(出口博章裁判官)は8日、「立場を悪用した大胆で狡猾(こうかつ)な犯行」として、懲役7年(求刑懲役8年)の判決を言い渡した。

判決によると、廣出被告は平成28年6月―令和4年6月、会計事務を担当していた町上下水道課と同病院で、計697回にわたって売上金などから現金計約1億7千万円を着服したとされる。

これまでの公判で弁護側が「横領金額が異なる」などとして被告の関与を否定していた一部の横領行為について、出口裁判官は判決で「差額分は被告が横領したと認めるほかない」などと退けた。

その上で「常習的で、発覚を免れるため、会計システムのデータを改ざんするなど偽装工作をした」と説明。「自己の立場を悪用し、信頼を裏切って敢行した大胆で狡猾な犯行」と指摘した。

その上で「遊興費や生活費を手っ取り早く稼ぐための身勝手で安易、浅はかな犯行」と強調。町への弁償が約1153万円にとどまることなどを考慮し、懲役7年が相当と結論付けた。

南伊勢町の上村久仁町長は「町民の皆さまには大変心配をおかけした。再発防止に努め、信頼を回復するため一層の努力と改善を重ねる」とのコメントを出した。