2025年4月30日(水)

▼昨年の能登半島地震の被災地復興に向けたボランティアに先月参加した。石川県珠洲市で昨年2月から約1年にわたり計11回、1泊2日でボランティア活動を続けたいなべ市大安町の和田孝一さん(44)ら約15人のグループに加えてもらった

▼活動場所は「復旧が届かない、一番隔離された被災地」とボランティア関係者が言う同市大谷地区。同地区は昨年1月の地震と、9月の記録的豪雨で大きな被害を受けた。元々過疎・高齢の集落が、市中心部から通じる道路の寸断もあって支援が届かず、地震から1年たっても水道が復旧しない、孤立集落と報じられていた

▼そこで見たのは、いまだがれきに埋もれたままの家屋。2階建てだが、1階はがれきと土砂に埋もれ、2階部分しか見えていない住宅が並んでいた

▼同地区の仮設住宅街で炊き出しをした。食べる目的ではなく、ようやく建った仮設住宅に入った被災者らに「笑顔がない」と心配した地元関係者の要請を受けたもの。過去多くの被災地で起きている災害関連死の元となった被災者の孤立を防ぐため、仮設住宅に住む新しいご近所同士の交流の場を設ける狙いだった

▼和田さんのグループはきねと臼を使った本格的な餅つきをした。「何年ぶりに見たやろ」とおばあちゃんら住民が大喜び。その声に、ボランティアらにも安堵(あんど)と笑顔が広がった。関西・中部から集まり、見知らぬ間柄同士のボランティアもいたが、被災者支援という共通の目的の下で自然と打ち解けた

▼あすで地震発生から1年4カ月。一日も早い被災地の復興を願わずにはいられない。