通報者氏名を施設に漏えい 大紀町職員が施設側に

三重県の大紀町は2日、職員が障害者施設で虐待の疑いがあると通報した人物の氏名を施設側に伝えていたことを明らかにした。県は事実関係を確認し、対応を検討する方針。通報者側は「施設から一時金(ボーナス)減額などの報復を受けた」と主張している。

町によると、同課の職員は昨年2月、利用者に対する虐待疑いへの対応を巡り、町外にある障害者施設の担当者と電話でやりとりをしていた際、町に通報をした人物の氏名を伝えた。

通報者が「自分の名前が施設側に漏れている」と町に連絡して発覚。職員は聞き取りに対し、通報者の氏名を伝えたと認めた。施設側から氏名を明かすよう求められたわけではなかったという。

町は通報者に謝罪。職員を課長による厳重注意としたが、懲戒処分はしていない。問題発覚後、管理職を集めた会議で今回の問題を共有し、再発防止を図ることを確認したという。

町健康福祉課は「今回の事態を重く受け止めている。通報者に申し訳なく思う。個人情報の取り扱いなど、公務員としての自覚をしっかりと持つよう職員を指導した」としている。

県によると、障害者虐待防止法は通報者の特定につながる情報の漏えいを禁止している。県障がい福祉課は「事実であれば町に注意などをする必要があると考えている」としている。

また、通報者は施設内で複数の利用者が職員から虐待を受けたと訴えているという。町などは通報内容に基づいて施設への調査を実施したが、虐待があったとは認定していない。