矢口小「ずっと忘れない」 閉校式、147年の歴史に幕 三重・紀北町

【そろいの法被で南中ソーランを披露する児童ら=紀北町矢口浦の矢口小学校で】

【北牟婁郡】学校統合に伴い、本年度末で閉校する紀北町矢口浦の矢口小学校で30日、閉校式があった。児童や地域住民ら約100人が出席し、147年の歴史を持つ学びやに別れを告げた。

同校は明治10年、付近の善光寺本堂に開校。ピークの昭和33年度に181人いた全校児童は、現在12人まで減少した。4月から約5キロ離れた同じ潮南中学校区の相賀小に統合される。

体育館で開かれた式では、藪中一浩校長が「小学校は地域文化の発信地で、町の誇りだった」と感謝。児童らに「仲間たちと過ごした思い出を胸に、個々の道を歩んでほしい」と語りかけた。

児童らは和太鼓の音色に合わせ、そろいの法被を着て民謡「南中ソーラン」を披露。合唱の間奏では「大好きな小学校をずっと忘れません」などと声をそろえ、順番に学校行事を振り返った。

全出席者で最後の校歌斉唱を終えた後、児童らは学校職員を横一列に並ばせ、感謝の言葉とともに色紙などを贈呈。手元に渡ると、担任らはお礼のハグで応えたり、目元を拭ったりしていた。

在校生の一人、4年の鈴木優心さん(10)は「ここで卒業できないのは残念。楽しい思い出ばかりだった」、卒業生の父浩二さん(54)は「閉校はさみしい。静かな町になってしまう」と話した。

【校長や担任に色紙などをプレゼントする児童ら】