
岸田文雄前首相は29日、三重県津市内で講演し、少数与党となった政権下では「大きな決断ができなくなる」との懸念を示し、今夏の参院選は「政治に安定をもたらす選挙にしたい」と訴えた。
この日、岸田氏は自民党県連がホテルグリーンパーク津(津市羽所町)で開いた政治資金パーティー「政経セミナー」で講演。県連関係者ら約600人(主催者発表)が参加した。
岸田氏は講演で「積み残された課題を果たさなければ次の時代に進めない」との思いで政権を担ったと説明。経済や安全保障、エネルギー政策などの分野で「大きな決断をした」と振り返った。
一方、少数与党となった現状では「与野党が調整しなければならず、いろいろと苦労をしないと結果が出せない。少数与党政治で大きな決断をすることは難しくなるかもしれない」と指摘した。
その上で、今夏に予定される参院選は「政治に安定をもたらす選挙にしたい」と強調。「国民への大きな責任を果たし、大きな決断をする力を自公に与えてほしい」と呼びかけた。
また、田村憲久県連会長はあいさつで、この日に国会で予算を採決する可能性がありながらセミナーの開催を決めていたと説明。「少数与党の厳しさを認識するに至っていなかった」と語った。
石破茂首相が新議員らに10万円分の商品券を配っていた問題にも言及。「法律違反にはならないと思うが、この時期になぜそのようなことをしたのか。私も疑問に思う」と指摘した。