三重交通に転籍第1号 桑名消防から、バス運転業務へ

【田端社長(左)から辞令を受ける兼子さん=津市中央の三重交通本社で】

【津】三重交通(津市中央、田端英明社長)は28日、桑名市消防本部から4月1日付で同社に転籍しバス運転業務に就く兼子政彦さん(60)=東員町=に辞令を交付した。同社と桑名市が令和5年10月に締結した60歳到達以降における転籍の協定に伴う第1号で県内初。消防職員としての経験が新たなステージで生かされる。

協定は公務員の定年延長に伴い、大型車両の運転ができ地元の地理に詳しい消防職員の経験を運転士不足に悩むバス業界に生かそうと締結。1年ごとに契約を更新し最長72歳まで雇用する。転籍後も桑名市の賃金が維持される。

兼子さんは高校卒業後自衛官を経て22歳から消防職員を38年、救急救命士として25年務めている。昨年8月に転籍を決め、10―11月に同社の負担で大型二種免許を取得している。

交付式は津市の本社であり、田端社長は兼子さんに辞令を手渡し「慣れないことも多いと思うが焦らず一歩ずつ進めて。しっかりサポートさせていただく」と激励した。

兼子さんは「消防士は体力仕事なので衰えで若い子の負担にならないよう60歳で辞めて他の仕事を探そうと思っていた。(協定が締結され)やってみようかと思った」と動機を話し「正直不安はあるが研修でサポートしていただけるので、経験を生かしお客さまに感謝していただける運転士になりたい」と力を込めた。

兼子さんは四日市市内の研修所で2カ月間研修した後、桑名営業区管内で路線バスの運転業務に就く。