2025年2月27日(木)

▼三重県議会の代表質問で、日沖正信議員が新年度当初予算案について質問した。「みえ未来基礎固め予算」と名付けたが、「基礎固め」には次なる4年への熱い思いが込められているのではないか―と。9月12日に任期満了になる一見勝之知事の進退を尋ねたのである

▼その意図を、一見知事はそらした。就任して3年5カ月で見えてきた県の課題を解決して、強みをさらに伸ばす基礎を固める意味で、その上に強固な建物を築くのが誰かはこれからの話。基礎を固めるのと、その上に建物を築くのは別だというのである

▼言葉遊びの気がしなくもない。知事の進退はともかく、任期最終年度の予算編成はいつも考え方の違いが際立つ。組んだ知事と、それを使う新知事との間で、である。組んだ方は、新知事のために十分な政策予算を残したと言い、新知事の方は、自身の政策を実現するのに使える予算はほとんどなかったと言うのである

▼基礎を固めるのと建物を築くのは一連の流れで、建物を築く側にとって、誰かが用意した“基礎”なるモノは、基礎とは呼べるのかどうか。“固めて”あればあるほど、新しい構想に燃える側にとっては打ち砕かなければならない“岩盤規制”に見えることもありそうなことである

▼いずれにしろ、知事の進退については聞かれることが増えた。多少のモヤモヤ感は県民にあるのではないか。戦術か決意か、知事にもいろいろ都合もあるのだろうが、理屈のための理屈を駆使するのではなく、県民第一に知事らしい誠実な決断を早期に表明願いたい。