個包装の非常用トイレ商品化 津の「わたせい」、災害時の備えに 三重

【「おうちで使う安心トイレ」を紹介する福島さん=津市久居中町のわたせい久居店で】

【津】三重県内に9店舗を展開する総合衣料品店「わたせい」が、1回分ずつ個包装の非常用トイレを商品化した。災害時に年代を問わず簡単に使える商品を目指して開発した「おうちで使う安心トイレ」。販売開始の8日は1回分を全店で計5千個、無料配布した。

【「おうちで使う安心トイレ」1回分を来店客に手渡すスタッフ(左端)ら=津市久居中町のわたせい久居店で】

非常用トイレは便器に黒いビニール袋をかぶせて凝固剤で汚物を固める形式。同社はこれまで、市販品の1回分を無料配布し平時に体験しておくことを勧めてきた。その中で大容量の市販品は凝固剤のパックがつながり、ビニール袋が束になっているなど不便な点が多いと感じ、より使いやすい商品の開発に至った。

オリジナル商品は便座に取り付ける袋、抗菌消臭の凝固剤、使用済み袋を入れる手提げ袋―の三つが個包装になっている。2種の袋は子どもや高齢者も分かりやすいよう色を分け、手提げ袋は「災害時少しでも明るい雰囲気になるように」とピンク色にした。

20回分は税込み1428円、60回分は便座を覆う抗菌防水シート、手袋、収集用大袋―各3点の付属品が付いて3958円。

この日久居店では多くの来店客が無料配布の1回分を受け取ると共に商品を購入。市内の速水里歌子さん(66)は「主婦目線で使う立場になって考えているところがいい」と話した。

同社の福島美帆マネジャー(36)は「すぐ使えることが本当の備え。いざという時のため、家族の1人でも使えるようになっていて」と呼びかけた。