<春の高校野球・決勝ヒーロー>津田学園・伊藤、攻守で躍動 適時三塁打、美技で安打阻止

【津田学園―三重 二回裏1死、三重7番秋山が放った鋭いライナー性の当たりをジャンプして捕ろうとする津田学園伊藤二塁手。足元に落ちた球をすぐさま一塁に送球し、二ゴロに打ち取った=津球場で】

守備の要が攻守にわたって活躍した。1点を先制して迎えた二回、2死二塁で狙い球「インコースのスライダー」を捉える左中間適時三塁打。チーム唯一の長打で「つなぎの9番」という役割を自ら体現した。

決勝前の時点で13打数1安打。見かねた佐川監督の助言もあり、バットを構えた時のグリップの位置を少し下げた。最短距離のスイングを意識した改造で「タイミングの取りやすいフォーム」と手応えを語る。

春の地区予選後に遊撃手から二塁手に転向した。二塁手は「内野全体が見やすく、3年生として内野陣をけん引できる」と強調。二回に安打性の打球に飛びつきアウトを奪うなど、好守でチームをもり立てた。

堅守のルーツは、小学5年まで7年間続けた空手にあるという。小学2、3年時に組み手で全国大会に出場した経験を持つ。礼儀作法のほか「瞬発力や忍耐力が身に付いた。野球に通ずる部分が多い」と話す。

帽子のつば裏に「常勝覇者」と書き入れているように、夏まで無敗で駆け抜ける姿勢。自身を「落ち込みやすい性格」と分析し、常勝かつ「常笑」で試合に挑む。「絶対的な二遊間にしたい」と飛躍を誓った。