津市水道局贈収賄、元市職員ら認める 津地裁初公判

津市発注の水道修繕工事を巡る贈収賄事件で、業者から洗濯機を受け取ったとして収賄罪などに問われた元市職員ら3人の初公判が1日、津地裁(西前征志裁判官)であり、3人はいずれも起訴内容を認めた。検察側は収賄側の元職員2人に懲役2年6月、追徴金計20万4790円を、贈賄側の業者に懲役2年を求刑し、即日結審。判決は30日に言い渡される。

収賄罪に問われたのは市上下水道事業局水道工務課元副主幹中村一男被告(56)=同市柳山津興=と同課元技能長松岡泰成被告(52)=同市久居明神町。贈賄罪に問われたのは水道工事会社「新英工業」代表の新居利英被告(51)=同市安濃町内多。

起訴状などによると、中村被告と松岡被告は令和4年7月ごろ―昨年4月ごろ、市内の水道修繕工事を同社に委託した見返りに、新居被告から洗濯機1台や水など計127点(販売価格計約20万円)の物品を受け取ったとされる。

3人は令和5年4月―昨年7月、中村被告ら市職員が実施した水道修繕工事10件を同社が施工したように偽り、工事費計約33万円を市からだまし取ったとして、詐欺罪にも問われている。

検察側は冒頭陳述で、緊急性のある水道修繕工事の発注で「本来は水道組合が業者を決めるが、中村被告や松岡被告らが業者を選定して直接依頼することが慣習的に行われていた」と説明した。

その上で「遅くとも令和4年1月以降、中村被告と松岡被告が洗濯機や水などをもらうようになり、優先的に新英工業に工事を依頼。水道局職員が実施した工事の委託料を架空請求させるようになった」と指摘した。

論告では「水道局職員と業者が癒着した長期間にわたる常習的で悪質な犯行」と強調。「水道組合で疑問の声が挙がるほどの偏向発注があり、公務員の廉潔性が害された」と主張した。

弁護側はいずれも起訴内容を認めた上で、元職員2人が懲戒免職処分を受けて「社会的制裁を受けている」と述べ、被害弁償を済ませていることなどから執行猶予付きの寛大な判決を求めた。