津高の噴水が復活 生徒ら掃除や募金活動 三重

【復活した噴水を喜ぶ執行部の生徒=津市新町の県立津高で】

【津】三重県立津高校(津市新町)の中庭に半世紀以上前に卒業生によって寄贈され、長らく稼働していなかった噴水が、生徒による「噴水復活プロジェクト」で息を吹き返した。全国4カ所の同窓会会場でOBに寄付を募って多額の修理費を捻出。創立145年の伝統校の噴水が、昭和から令和へと受け継がれている。

噴水は昭和43―45年の卒業記念として中庭に寄贈されたもので水盤から水が垂れ落ちる形状。同校によると生徒の憩いの場として親しまれていたが20年ほど前から動かなくなり、水がよどんでため池状態になっていた。

「先輩に寄贈された噴水を復活させよう」と一昨年、生徒会執行部がプロジェクトを立ち上げ、今春卒業した3年生と現在の2、3年計約30人が参加。池や噴水を掃除したところ水が流れるためには修理が必要で、ポンプを交換し配管を新設した場合100万円以上かかることが分かった。

【修理に向け池と噴水を掃除する執行部の生徒(津高提供)】

そこで生徒は、昭和一桁生まれから平成世代までOBが一堂に集う年1回の機会に直接呼びかけようと計画。昨年6月市内であった同窓会会場で協力を仰いだ。

【令和6年6月の同窓会会場での募金活動(津高校提供)=津市内で】

9―11月の東京、名古屋、大阪の3会場では、生徒が作った動画を上村和弘校長が紹介。文化祭での呼びかけと合わせ、計73万2595円が集まった。2年の山本昌幸さん(16)は「僕らが豊かに過ごせるようにと寄付していただき母校への愛を感じた」と話す。

詳しい調査でポンプの交換のみで直ると分かり、寄せられた資金で修繕がかなった。復活した噴水で新学期を迎え、水音が響く中庭にはこれまでより多くの生徒が集っているという。

活動を通じ、鈴村春胡さん(16)は「実現したいと思ったことが夢物語でなく、諦めなくていいと自信がついた」、一ノ木悠太さん(16)は「生徒たちで考え、自由に活動できる環境で自分たちにできることはたくさんあると分かった」と話す。

復活した噴水を活用し、スーパーサイエンスクラブの部員が水質を保つための調査研究を始めるなど新たな動きも生まれている。今年の同窓会ではOBに完成を報告しお礼を伝える予定で、3年の西川実杜さん(17)は「OBの方々や津高を目指す中学生に、公開文化祭やオープンキャンパスでこの雰囲気を感じてほしい」と話している。