
【尾鷲】三重県の東紀州5市町が整備する広域ごみ処理施設の工事を巡り、一部事務組合「東紀州環境施設組合」は10日夜、尾鷲市中村町の中央公民館で住民説明会を開いた。参加した住民からは騒音や振動、濁水対策などへの不安の声が相次いだ。
組合によると、施設は同市矢浜の市営野球場跡に建設される。ごみピットを含む地下1階地上4階建ての工場棟と、地上2階建ての管理棟で構成。2階部分で接続する。5月に工事に着手し、令和9年11月に試運転、同10年4月の供用を目指す。
説明会は住民ら19人が参加した。管理者の加藤千速市長以下、組合員と設計、工事を担うプランテックなどの共同事業体(JV)の担当者が工事について説明。完成イメージが初めて公開されたほか、環境保全措置や安全対策が示された。
建設工事は午前8時半―午後5時、原則4週8休。安全対策として、工事車両導線と国道の接続部に警備員を配置するほか、粉じん防止用の仮囲いやタイヤ洗浄機を設置する。敷地内には砕石や鉄板を敷き詰め、汚れの抑制に努めるという。
また、導線付近の敷地境界に計測器を常設。騒音・振動ともに厳格な自主管理値を設定し、超過した場合は「作業を中断し、対策を講じる」と明言した。雨水調整池などの濁水は、管理基準値を順守した上で、現場沿いの真砂川に排水する。
住民からは「測定器は外部から見えるように置いてほしい」「工事車両は必ず左側車線の走行を求める」との意見が挙がった一方、ごみピットについて「ひび割れが起きたら、雑菌が川に流れてしまう」などと構造を懸念する声も上がった。
JVは対応や検討を進めるとした上で、ひび割れの指摘は「コンクリートが割れにくい配合を決めている」と説明。JVの設計計画によると、ピット全体を囲む鉄筋コンクリート壁の厚さは、構造上1・3―1・5メートルほどに設定されている。