「楽しくて筆止まらない」 伊勢で中西さん、白寿記念の油絵展

【白寿を記念し油絵作品を展示した中西さん=伊勢市上地町の伊勢ガクブチ・ギャラリー伊勢で】

【伊勢】今年、数え年で99歳になる三重県伊勢市神社港の中西富子さん(97)が、これまで描きためた油絵を展示した白寿記念の作品展が、伊勢ガクブチ・ギャラリー伊勢(同市上地町)で開かれている。23日まで。

中西さんは85歳の時、地元老人会の絵画クラブで初めて油絵の絵筆を手にした。「絵は学校で飾られる程度」だったという中西さん。1カ月ほどかけて初めて描き上げた志摩市の大王崎灯台の風景画が、市美術展で入選し「のめり込んだ」。以来、気に入った各地の風景や季節の花などをモチーフに絵筆を取り、月2回のクラブ活動で講師の画家に指導を受け、自宅ではほぼ毎日3時間ほど描き続けてきた。

会場には、13年間に描きためた中から、市展で入選した7点を含む、25点を展示。背景の色使いで香りを表現したというバラの花、雪の表現に苦労した岐阜県白川郷の合掌造り集落、昨年末に描き上げた最新作の「鳴門のうずしお」などが並ぶ。

「描いていると楽しくて筆が止まらない」と中西さん。「絵には物語があって、一つ一つ思い出が詰まっている。多くの人に見てもらえたらうれしい」と目を細めた。