2025年2月28日(金)

▼覚醒剤汚染はサスペンスドラマなどでの一つのテーマだ。家庭の主婦や学生など、意外な層に浸透しているというのだが、津市教育委員会で、児童生徒の薬物乱用防止などを担当している52歳の教育研究支援課長が覚醒剤所持容疑で現行犯逮捕されたというのだから、開いた口がふさがらない

▼覚醒剤とみられる物質数グラムに対し、注射器数百本が押収されたというアンバランスも、常人には計り知れない謎だ。注射器マニアから覚醒剤への道をたどったとでもいうのだろうか。「公務員として、そして人間としても許されない行為」と市教育長が陳謝した。分かりきったことだが、啓発担当者がしてしまう背景には何があるのだろうか

▼津市にとっては津ボート広報、水道工事汚職に続く不祥事である。特定自治会長問題以来、厳しく対応し、再発防止に努めてきたが、効果は見られたとは言いがたい。しかも、これまでは内部調査である程度把握し、警察に告発する形で対処してきたが、今回は愛知県警の捜査である。市も三重県警も寝耳に水だったのではないか

▼現行犯逮捕された課長は、小学校の教諭、教頭などを経て昨年4月から現職という。経歴もさることながら、薬物乱用防止の責任者になったということにも、人事の機能不全が浮かびあがる。愛知県警が逮捕するきっかけは情報提供という。市は事前に把握ができなかったものか

▼前葉泰幸市長は、次の会見などでまたまた陳謝を余儀なくされるのだろう。底なし沼に足を取られた心境ではないか。市民もそうだろう。