200円スーパー「Ⅱ(津ぅ)マート」開店 津・丸之内に、悩める人の「居場所」も提供 三重

【200円スーパーや居場所づくりに取り組む花井さん=津市丸之内のⅡマートで】

【津】三重県津市丸之内に200円スーパー「Ⅱ(津ぅ)マート」が今月上旬にオープンした。200円という手頃な価格で生鮮食品やお弁当などが購入できるほか、配達にも応じる。スーパーに加え、店内では若者や高齢者らの「居場所」も提供する。運営するNPO法人「HOME」代表理事の花井幸介さん(36)は「地域の駆け込み寺を目指したい」と意気込む。

花井さんが手がける焼き肉店「幸」をスーパーに衣替えし、野菜や卵などの生鮮食品や調味料、飲料、200円や500円のお弁当などを置く。アクセサリーや生活雑貨、電化製品なども取りそろえる。2千円以上の購入から、車で10分以内の距離なら配達もする。

物価高などでモノの値段が高騰する中、「200円」という手軽に購入できる金額にこだわった。仕入れ先と交渉したり、米なら200円分を小分けで販売するなど工夫を重ねる。

もともと焼き肉店の店先で野菜の販売などを行っていたが、品物数に限界もあり、店舗型に変更。周辺に住む高齢者らの「手頃な値段で買い物する場所が少ない」との声も後押しした。

商品を販売するだけにとどまらない。さまざまな悩みや困難を抱えた人々の「居場所」も提供する。店内にはテーブルやイスを配置し、飲食や気軽に交流できるスペースも設けた。相談に乗ったり、市社会福祉協議会などと連携して福祉窓口につなげる役割も果たす。

鈴鹿市出身の花井さんは、「高齢者や障害者をケアする施設はあるが、悩める子どもたちの居場所はあまりない」との思いで、13年前に同市で子ども食堂を開設。7年前に津市大門で子ども食堂を開き、2年前に現在の場所に移転した。

自身がゲイであることを公表している花井さん。子ども時代、いじめられ、悩みを抱えていても誰にも相談できる場所がなかったのが活動の原点だ。

今回は子どもに限らず、さまざまな困難を抱える人々の悩みに応じる。市社会福祉協議会の関係者は「全世代に向けた相談事業や居場所づくりを行う取り組みとしては、市内でも唯一だ」と期待を寄せる。

花井さんは「会話する中で打ち解け、悩みが打ち明けられる、あったかい空間をつくりたい」と話す。地域に根ざした「スーパー兼駆け込み寺」の挑戦が始まる。

Ⅱマートは毎月10日―20日午前10時―午後7時まで開店。定休日は月、火曜日。問い合わせ先は電話番号=059(269)5677=へ。