和紙人形作家の阿部夫美子さん遺作展 伊勢・おかげ横丁で、日本神話など題材 三重

【阿部さんの作品を紹介する長男の暖さん=伊勢市のおかげ横丁で】

【伊勢】日本神話などを題材に創作を続け、4月に亡くなった三重県伊勢市の和紙人形作家阿部夫美子さんの作品を紹介する遺作展が、市内のおかげ横丁で開かれている。入場無料。15日まで。

阿部さんは子育ての息抜きにと、34歳で和紙人形作家に師事。作家として独立し、自身で教室を主宰した。平成6年に同市で開催された「世界祝祭博」では、江戸時代の伊勢参りや神宮の「遷御の儀」を和紙人形で再現したジオラマ展示を制作。日本神話に登場する神々や伊勢の文化、おひな様などを題材に、約50年創作活動を続け、4月に83歳で亡くなった。

会場の「旧おかげ座」に、遺作の中から45点を展示。伊勢神宮内宮にまつられる「天照御大神」や、内宮を創建したとされる「倭姫命(やまとひめのみこと)」といった神話の神々を、和紙で繊細に表現した美しい作品が並ぶ。穏やかな表情の観音菩薩や、伊勢の「古市歌舞伎」の一場面を表現した作品などもある。来年2月ごろ、後期展を開催予定。

【多彩な和紙を使い緻密に表現された「天照大御神(荒御魂(あらみたま))」】

阿部さんの長男、暖さん(54)は「母は、毎晩ラジオを聞きながら黙々と作業していた。自信家で、創作に自信を持っていた。大勢に作品を見てもらう機会をいただき、きっと喜んでいると思う」と話していた。