型枠工事知ってほしい 瑞宝単光章・技能検定功労 北岡広樹氏(64)

型枠工事業に46年にわたり従事し、後進を育てる型枠施工職種の県技能検定委員を26年間務めた。

「うれしい。技能検定は現地の会場づくりや受験事務という下支えがあってでき、私だけの力ではない」と喜ぶとともに、「型枠という業種が知られていない。人手不足でもあり、イメージ向上のいい機会になれば」と話す。

型枠大工は、マンションや商業施設、病院、学校など鉄筋コンクリートの建築現場で、コンクリートパネルを加工し、コンクリートを流し込む型を作る。明和中学校や多気町の商業リゾート施設ヴィソンのホテル棟などの建設に携わってきた。

昭和53年に宇治山田商業高校を卒業後、父が創業した北岡建設(明和町坂本)に入社。平成三年の社長就任後も第一線に立ってきた。

昭和61年に業者間で交流を図ろうと県中南勢地区型枠研修会を立ち上げ、平成25年に三重型枠会に発展させ会長に就任。技能検定試験の普及と実施に当たってきた。

技能検定ではのこぎりや金づち、昨年からは電動工具を取り入れ、コンパネを型枠に加工する。1級は左右の形が違う型枠を作り、実務経験7年以上が必要。技能検定委員の取りまとめに当たる主席技能検定委員を平成10年から令和4年まで務めてきた。

三重型枠会は現在8社加入し、ピーク時の半分ほど。全国的にも型枠職人の確保が課題になっている。

「若い人が入ってきにくい業界。知らない業種には入っていけないので、型枠工事を知ってほしい」「残業はなく、設備が良くなり危険なことは少ない。職人の地位を上げていきたい」と語る。

〈略歴〉昭和53年に北岡建設に入社し、平成3年に社長就任。平成29年に東海地区型枠工事協同組合理事、令和2年に日本型枠工事業協会常任理事に就いた。