里親抹消の取り消し求め三重県を提訴へ 名張の親子ら

長年にわたり養育していた里子の里親委託を児童相談所が一方的に解除し、三重県が里親の登録を抹消したことは違法だとして、名張市の松山健さん(79)親子が抹消の取り消しと約2200万円の損害賠償を県に求め、津地裁に提訴する方針を固めたことが18日、分かった。

松山さんによると、松山さん夫婦は平成21年6月から、男子高校生(16)を里子として養育。平成25年8月からは男子中学生(13)も里子として養育していた。

児相は令和4年3月、松山さんや高校生からの聞き取りなどから、虐待の疑いがあるとして、里子2人を一時保護。児相は同月、2人の里親委託を解除し、県は夫婦の里親登録を抹消した。

一方で、津家裁は昨年4月、高校生が夫婦からの虐待被害を否定しているなどとして、夫婦と高校生との養子縁組を許可。3人の同居が再開したが、現在も中学生は施設に入所しているという。

松山さんは取材に対し「責任を持って大事に育ててきた子どもたちと理不尽な形で断絶された。違法な処分を取り消して、以前のように4人で生活したい」と話した。

県子ども・福祉部は訴訟への対応について「提訴されている段階ではなく、訴状も届いていないことからコメントできない。裁判になれば主張すべきことは主張することになると思う」と説明。里親の登録を抹消したとされる処分の妥当性についても「個人情報に当たることから、答えられない」としている。