榊原の魅力を書籍で紹介 津の増田さん、温泉学者松田さんと共著

【共著書を紹介する増田さん(右)と松田さん=津市本町の伊勢新聞社で】

【津】三重県津市榊原町の増田晋作さん(86)が、医学博士で温泉学者の松田忠徳さん(75)=札幌市南区=との共著「枕草子の日本三名泉 榊原温泉」(中西出版)を出版した。同町生まれで郷土史に詳しい増田さんと、全国4500カ所の温泉を巡った松田さんがタッグを組み、榊原温泉の魅力を紹介している。

増田さんは地元の郵便局長から公民館長となり、地域の歴史講座やボランティアガイドを続ける。松田さんは全国の温泉地を回って多くの著書を出版しており榊原温泉についての講演や効能の実証実験をしている。

松田さんは、清少納言の「枕草子」にある「湯は、ななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」の「ななくり」が榊原の古い地名で、神宮参拝前に身を清める「湯垢離(ゆごり)」の地だった伝説があることから「希有(けう)な歴史があり泉質も素晴らしいが全国区になり切れていない。魅力を本にまとめ全国に知ってもらいたい」と20年来の親交がある増田さんに声をかけ、共著の出版が実現した。

8章からなり1―5章は増田さんが史料からひもとく榊原の歴史やゆかりの人物、昭和50年代に地元の古老に聞き取りまとめた昔話などを、6―8章は松田さんが日本人と温泉とのつながりや平成28年に実施した源泉の還元力測定や療養効果の実証実験結果などをそれぞれ執筆した。

巻頭には増田さん撮影の榊原地区の四季や行事の写真をふんだんに掲載し装丁も手がけた。増田さんは「私がこれまで感じ取った榊原のことを活字に残しておきたかった。この本を基に発展させてくれる人が出てくるといい」と話した。

四六判302ページで一冊税込2200円。津市観光協会、アマゾンなどで購入できる。問い合わせは同協会=電話059(246)9020=へ。