2024年3月11日(月)

▼本紙企画『これでいいのか三重』の第3回「SNS型投資詐欺」を読んでいくと、県予算企画で「特殊詐欺対策」を読んでいるかのような錯覚に陥る。片や電話、片やSNS(交流サイト)のツールに違いはあるが、情報技術を使って見知らぬ人の心の中に入り込んで、大金を巻き上げていく

▼昨年中の特殊詐欺被害は274件で、被害額は約7億700万円。前年度比約2倍。投資詐欺は前年を5・7倍上回り、119件で、被害額は11億円超。合わせて約400件、18億円だ

▼成果をあげられない警察の釈明がよく似ている。「犯人を特定する手掛かりが少ない」という投資詐欺捜査関係者の言葉は、受け子と主犯格とのつながりがないため「解決に至りにくい」と言う特殊詐欺の捜査関係者の嘆きと酷似する。さかのぼれば、詐欺事件で指摘された難しさといえようか

▼投資詐欺はかつては会員を募り、ランク付けをして、高級会員ほど特別な情報を提供するという触れ込みで怪しげな情報を提供した。SNSで一気にデジタル化し、海外を拠点にしたり、海外のサーバーを複数経由する仕組みを編み出したのだろう

▼これに対し、捜査当局の手法は、投資顧問会社対象の時代から一歩も進んでいないように見える。「国民が安心して生活できるデジタル社会に」をスローガンに警察庁に「サイバー警察局」が発足したのは令和四年。未だ海外のサーバーを経たらお手上げとか、人手不足というのが、デジタル相手にアナログで立ち向かっている構図を想像してしまうのである。