2024年3月10日(日)

▼県庁の新年度人事の目玉、副知事ポストに一見勝之知事は野呂幸利危機管理統括監の起用を県議会に伝えた。公表までが庁内最大の関心事で、公表後との落差が極端に激しいのが人事だが、フタを開けてみれば、危機管理統括監が就く順送り人事に戻っただけだった

▼庁外から登用するとの観測もあったという。国からということだろうが、国からの予算獲得で実績を強調する知事のこと。どの段階まであったか。ともあれ、人事の目的の一つは人心一新。2人副知事のいずれもが危機管理統括監からの順送りとは、何とも変わり映えのしないことになった。職員の意気はあがるまい

▼とりわけ女性副知事が消滅したことの影響は大きいのではないか。県職員の差別意識の強さには定評があるが、女性差別も例外ではない。過去の先駆者も「あれは知事のオンナだから」「両親が家事、育児をやっているから」「議会答弁ができるか」などの陰口がかまびすしかった

▼部長に女性が就いたのは廣田恵子副知事が初めてで、その後は環境生活、農林水産と一ポストを維持したが、廣田副知事退官後を思うと心もとない。女性管理職の比率は14%強で前年度比0・8ポイント増。30%の目安にはほど遠く、ジェンダーギャップ指数が世界最低ランクの日本の現状を体現している。県内民間企業も、幹部との懇親会の席で一人も女性がいないケースは少なくない

▼県人事には「迷ったら止めよ」の言い伝えがある。庁外登用との間で迷いがあったのなら、廣田副知事留任も選択肢としてあってよかった。