社労士が雇調金など不正受給 三重労働局発表、会社と共謀し

三重労働局は1日、鈴鹿市内で社会保険労務士事務所を営む森本利彦社会保険労務士が四日市市内の会社と共謀し、雇用調整助成金(雇調金)と緊急雇用安定助成金の計約2892万円を不正に受給していたと発表した。雇調金などの不正受給を巡り、社労士の関与が発覚するのは県内で初めて。

同局によると、森本氏は令和2年4月から5年3月にかけて、四日市市七つ屋町の水運会社「タカトモ」と共謀し、休業したとする虚偽の申請書類を作成して同局に提出していた。

森本氏は「SR OFFICE社会保険労務士森本事務所」(鈴鹿市一ノ宮町)を営んでいる。申請書類に不審な点があったことをきっかけに同局が調査し、不正受給が発覚したという。

森本氏とタカトモは同局の聞き取りに対して不正を認め、全額を返還する意思を示しているという。同局は助成金の要領に基づき、森本氏から雇調金などの申請を5年間、受け付けない。

また、同局は鈴鹿市池田町の建設会社「井上工業」が令和3年4月から1年間、約1108万円の緊急雇用安定助成金を不正に受給していたと発表。同社は全額を返還する意思を示している。

同局は昨年度以降、今回を含めて55事業所の不正受給を確認。不正受給の総額は約9億2600万円に上る。同局は「今後も不正受給を確認した場合は事業所名を公表する」としている。