4歳娘傷害致死認める 津地裁初公判で母親 三重

昨年5月、三重県津市の自宅で三女=当時(4つ)=に暴行を加え死亡させたとして傷害致死罪に問われた工員中林りゑ子被告(43)=同市久居野村町=の裁判員裁判初公判が20日、津地裁(西前征志裁判長)であり、中林被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

検察側は冒頭陳述で「被告は事件前から三女の体を手で押して転ばせるなどの暴行を加えていた」と説明。三女を保育園に登園させず、十分な食事を食べさせていなかったことを指摘した。

弁護側は「三女は発達に遅れがあり、被告は子育てがうまくいかないことに悩みを抱えていた。周囲からサポートを得られず、精神的に追い詰められていた」などと主張した。

また検察側は、中林被告が三女を自宅の浴室で出産後、両親や2人の娘に告げずに、熊本県の病院が運営する「赤ちゃんポスト」に預けていたと明かした。中林被告は2年後に、三女を引き取り、2人の娘と4人で同居を始めた。

三女は主に寝室で生活。寝室は中林被告ら3人が生活するリビングと段ボールで区切られていた。三女は1人で食事や睡眠をしていたほか、爪が伸び、体にあかがたまるなど「ネグレクト(育児放棄)が長期間続いていた」と主張した。

証人尋問で中林被告の母親は、母親の家で定期的に長女と次女に会っていたことを証言。一方で、三女とは一時期から会っていなかったと話した。

起訴状などによると、中林被告は昨年5月、自宅で三女のほのかさんの背中を右手で殴り、高さ約30センチの台から転落させるなどして、急性硬膜下血腫に伴う脳ヘルニアで死亡させたとされる。

事件では、三女に虐待の疑いがあるとの通告が寄せられた児童相談所が一時保護を見送り、その後、安否を1年近く直接確認していなかったことなど、児相の対応が問題視された。