<まる見えリポート>金メダリスト職員の訴求力 松阪市スポまち長官表彰

【「スポーツのチカラプロジェクト」立ち上げをアピールする土性さん(左)と竹上市長=昨年4月17日、松阪市役所で】

リオ五輪女子レスリング金メダリスト土性沙羅さん(29)が選手引退後の昨年4月、出身地の松阪市の職員になった。土性さんを核に「伝えたい!スポーツのチカラプロジェクト」を立ち上げ、市内小中学校での出前授業を皮切りに、市ゆかりのスポーツ選手らと対談する「土性沙羅のスポーツのチカラ応援ch」の動画投稿サイト「ユーチューブ」での公開などに取り組んでいる。同年11月にスポーツ庁の「スポまち!長官表彰」を県内で初めて受賞した。

土性さんは同市が初めて募集したUIJターン社会人経験者枠で入庁し、スポーツ課で勤務している。

出前授業の初回は昨年6月、母校の同市鎌田町の第四小学校で開いた。全学年472人を前に、「毎日レスリングのことを考え、携帯の待ち受け画面は負けた時の写真を使い、自分を追い込んだ。失敗してからでないと分からないことがある」と金メダル獲得までを振り返り、「挑戦した先にしか見えない景色を見ることができる」と子どもたちを激励した。

竹上真人市長は「夢を実現した人がいることが励みになり、目標になる。頂点を極めるにはこれほど練習しなければいけない、こうやってなれたんだという話が人生の糧になる」と期待する。

来年度に残る小学校19校、中学校6校を巡り、全校実施を目指す。

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トップアスリートのトレーニングも教えている。昨年7月、県高校保健体育教育研究会松阪支部の実技講習会で講師を務め、あおむけになって背中とお尻をねじって横に進む「ダンス腹筋」や、腕立て伏せしながら進む「2人組み手押し車」などを伝授。「2人おんぶ」を実演し、「2人140キロを背負い坂道を走る」と話した。教員約15人が参加し、たじろいでいた。

令和6年度は「さら☆トレ楽ちん講座」を住民自治協議会単位で実施予定。10分間の運動を参加者と一緒に楽しむ。

「スポーツのチカラ応援ch」は県出身のトップアスリートや将来有望なジュニア選手が出演し、土性さんとトークや競技を繰り広げ、スポーツの魅力を伝えながら選手を応援する。先月23日から配信している4回目は、埼玉西武ライオンズからドラフト6位指名された皇學館大学硬式野球部の村田怜音選手。ドラフト会議時の心境や契約金の使い道を語る。

健康づくり課の管理栄養士と共演する「土性沙羅の栄養満点☆チカラご飯ch」も始めた。バランスが取れ栄養豊富なレシピを調理しながら紹介する。初回は鶏肉と野菜の甘酢炒め。

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受賞した「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰(スポまち!長官表彰)」は東京五輪後に始まり、スポーツを生かしたまちづくりのアイデアを評価する。

「“移住者”を呼び込む!“全天候型”アーバンスポーツパークを核とした茨城県堺町のまちづくり~オリンピックレガシーの継承~」や、長野県東御市の「標高差1500mの地勢を活かしたスポーツ・ツーリズムの創出」など26の県や市町が受賞した。

松阪市は重点施策に「スポーツと連動したまちづくり」を掲げ、「香肌峡セブンマウンテン」を選定し、県唯一のフルマラソン「みえ松阪マラソン」を実現してきたが、五輪金メダリストの職員が主導するプロジェクトは次元が異なる訴求力があるようだ。

表彰式で室伏広治長官は「行政で活躍するアスリートが増えることで、まちを元気にしてほしい」とエールを送った。

同プロジェクトはマスコットキャラクター「モーラ」を作っている。松阪牛と土性さんをイメージし、スポーツのチカラを網羅するという。企業から使用希望の問い合わせがあり、商標登録する。

土性さんは「広報まつさか」今月号の特集「さあ、はじめよう!松阪市スポーツ少年団」に登場。「勝てるようになってくるとやっぱりうれしかったですね」「一緒に頑張れる仲間の存在が何よりの原動力になりました」「自分に合うスポーツを見つけて、たくさんの仲間をつくっていっぱい楽しんでほしいです」と呼びかけている。