三重県、一般会計8050億8600万円 令和6年度当初予算案、子ども支援など注力

【記者会見で新年度予算案を発表する一見知事=県庁で】

三重県は14日、令和6年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は前年度比3・8%(320億5300万円)減の8050億8600万円。前年度に続いて子ども支援や防災対策、人口減対策に注力するほか、新たに人材確保の取り組みにも重点的に配分した。一見勝之知事は「こども・未来まもる予算」と命名。19日の県議会本会議に提出する。

県によると、一般会計の予算規模は新型コロナウイルス対策費の縮小によって6年ぶりに減少。一方、人件費の増加などにより、新型コロナの関連費を除いた比較では過去最大を更新した。

前年度に続き、子ども支援の予算に重点を置いた。関連予算をまとめた「みえ子どもまるごと支援パッケージ」は、前年度比7・8%(7億6800万円)増の106億2600万円に上る。

入院医療費の補助対象を中学生まで拡大するなどし、各段階で切れ目のない支援を目指す。男女とも働きやすい職場づくりへの奨励金を設けるなどし、ジェンダーギャップの解消も図る。

人手不足の対応にも乗り出す。関連予算は22%(7億7500万円)増の42億4100万円。各分野の課題を踏まえ、企業の採用や従業員のリスキリング(学び直し)などを支援する。

人口減対策の費用は4・5%(5億800万円)増の117億7100万円を計上。県内に戻る若者を対象とした奨学金返還支援制度を充実させるほか、移住希望者に県営住宅を提供する。

防災減災・県土強靱化(きょうじんか)分は4・5%(25億8600万円)増の598億2900万円。津波避難タワーを整備する市町への補助金は、前年度の4倍に当たる16基分を用意した。

今年で世界遺産の登録から20周年を迎える熊野古道伊勢路の魅力向上にも注力。英語を併記した統一的な案内標識を設けるほか、古道の周辺に少ないホテルの立地を促す補助金も用意する。

財政の弾力性を示す指標として県が独自に設定している「経常収支適正度」は8年連続で改善。借金返済に充てる公債費の負担率を測る「公債費負担適正度」も、2年連続で改善した。

借金返済に備える県債管理基金に、計画通り109億5千万円を積み立てる。満額の積み立ては3年連続だが、積立不足の累積は40億円に上る。県は令和8年度中に積立不足の解消を見込む。

特別会計や企業会計を含む当初予算の総額は、3・2%(392億9100万円)減の1兆1860億4600万円。4年ぶりに減少し、3年ぶりに一兆2千億円を下回った。

一見知事は記者会見で「県民の命や子どもの未来を守る予算にした」と強調。「とりわけ子ども施策に力を入れる。虐待による死亡事案や不適切保育を二度と繰り返さない」と述べた。

予算編成は「幸いなことに税収が伸びた。切らなければならない予算はそれほどなかった」と説明。財政状況は「厳しい状況から脱したが、非常に余裕があるというわけでもない」と語った。