カキ殻タイルでダブル受賞 三重の鳥羽商船と豊田高専チーム 文科大臣賞と企業賞

【中村市長(右)にW受賞を報告した(左から)山浦さん、森﨑さん、山本さん=鳥羽市役所で】

【鳥羽】高専の女子学生を中心としたチームが地域課題解決に向けたアイデアを提案するコンテストで、鳥羽商船高等専門学校(三重県鳥羽市)と豊田工業高等専門学校(愛知県)の合同チーム「かきっ娘」が開発した、二酸化炭素を吸収する無焼成スマート牡蠣(かき)殻タイルが最高賞の文部科学大臣賞と企業賞「JFEスチール賞」をW受賞した。

かきっ娘が出場した「第2回高専GIRLS SDGs×Technology Contest(高専GCON2023)」は、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からさまざまな社会課題に対してどう貢献できるか考えることにより、未来の研究者・技術者としてさらなる成長を促すことを目的に開催。今回は全国からエントリーした85チームのうち、12チームが1月21日に東京であった本選に出場した。

かきっ娘には、鳥羽商船高専情報機械システム工学科5年の森﨑蘭さん、山浦あかりさん、山本ミチルさんと豊田高専の学生3人が参加した。

山本さんらは、鳥羽市で盛んなカキ養殖の生産過程で出る大量のカキ殻に着目し、カキ殻の成分が化学反応によって二酸化炭素を吸収する特徴を生かして粉末を使ったタイルの製作を企画。建築関係の技術がある豊田高専に協力を呼びかけ、カキ殻の加工販売などを手がける「ケアシェル」(鳥羽市)やタイル製造業「中島窯業」(多治見市)の協力を得て、産学地域連携で取り組みを進めた。

窯業のまちとして知られる多治見市では、二酸化炭素の排出や粘土鉱山の減少による原料不足が課題となっており、製造時に粘土を使わず焼成せず、二酸化炭素を吸収するカキ殻タイルを作ることで両市の課題解決につなげようと研究を重ね、かきっ娘が好きなサウナの内壁材としての利用を想定し、強度や吸水性にもこだわった。

山本さんらがこのほど、鳥羽市役所を訪れ、中村欣一郎市長にW受賞を報告。森﨑さんは「自分たちの力だけでなく、企業の人や先生などいろんな方のサポートがあって受賞できたと感謝している。このタイルを使ったサウナが広がれば」と喜びを語った。

指導教員の児玉謙司准教授は「お互いの学生が学んでいる専門性を組み合わせ、企業のノウハウやサポートがあってほぼ実用できるところまでいった」と評価した。中村市長は「どの点からみてもSDGsにつながっていて素晴らしい」とたたえた。