子ども支援施策を強調 伊勢新聞政経懇話会で知事講演

【政経懇話会で講演する一見知事=津市大門で】

一見勝之三重県知事は29日、津市センターパレスホール(同市大門)で開かれた伊勢新聞政経懇話会で、約100人の出席者を前に「県民の生命を守り、三重県人の命を未来へつなぐために~走り続ける三重県庁~」と題して講演した。「どんなに豊かでも、子どもたちがいなければ未来はない」と述べ、不登校の児童生徒が通うフリースクールへの支援など、子ども施策に努める考えを強調した。

一見知事は本年度予算に盛り込んだ「みえ子どもまるごと支援パッケージ」を、来年度予算では「セカンドステージとして打ち出す」と説明。子どもの医療費助成などに努める考えを示した。

「不登校の子どもが全国で増えている」とし、フリースクールへの支援を始める考えも示した。津市で母親の虐待を受けた女児=当時(4つ)=が死亡した事件を受けた対策も進めると説明した。

都道府県では初めて、昨年8月に人口減少対策方針を策定したことも紹介。方針に基づき、I・Uターンの促進やジェンダーギャップの解消、子育て環境の改善などに努める考えを示した。

能登半島地震の被災地支援では、他県に先んじて職員を派遣したとアピール。倉庫の備蓄品を全て送ったり、階級の高い職員を派遣したりして、支援の「一挙投入」に努めていると説明した。

今回の経験を南海トラフ地震の備えに生かす必要性を強調。災害時に市町へ派遣する県職員を事前に決めていることや、津波避難タワーを整備する市町を支援していることなどを紹介した。

就任から2年4カ月を経た立場として、知事の仕事に対する「個人の感想」も披露。「仕事は本当に大変だが、お世話になった故郷を良くしたいという気持ちだけで務めている」と語った。

「役人は決められた仕事をしっかりやるが、知事はやり方を決めるのが仕事」としつつ「知事の仕事は役人の経験を生かせる」と説明。「国に提案することも知事の大事な仕事」と述べた。

行政官の経験を生かした自らの成果として、G7交通大臣会合の誘致や公共事業の予算獲得を挙げた。四日市港関連の予算獲得は「(私が)国交省で働いていなければ難しかった」と語った。

このほか、一見知事は29日付本紙の「県庁人事予想」に言及。「非常に興味深く読ませてもらった。人事は発表まで秘密」とした上で「発表まで楽しみにしてもらいたい」と語った。