60歳超消防職員をバス運転手に 三重交通と伊勢、鳥羽、志摩市が協定

【協定書を交わした(右から)橋爪志摩市長、田端社長、鈴木伊勢市長、中村鳥羽市長=伊勢市役所で】

【伊勢・鳥羽・志摩】三重交通(津市)と伊勢、鳥羽、志摩各市は22日、60歳を迎えた消防職員が、同社のバス運転手として働くための協定を結んだ。全国的にバスの運転手不足が課題となる中、人材の確保と、消防職員の経験を生かした新たな働き方として選択肢を広げる狙いがある。

協定により、60歳を迎える消防職員が希望した場合、バスの運転に必要な大型二種免許を同社の負担で取得した上で、嘱託職員として採用。その後、約2カ月間の教育期間を経て、伊勢志摩地域で路線バスなどの運転手として勤務する。雇用契約は1年更新で、最長72歳まで勤めることが可能。消防職員は消防車両を運転するため、職員の多くが大型一種免許を保有し、大型二種を取得しやすい。また地元の地理に詳しいことから、知識や経験を生かすことが期待され、公共交通の維持につなげたい考え。

伊勢市役所で締結式があり、同社の田端英明社長と、鈴木健一伊勢市長、中村欣一郎鳥羽市長、橋爪政吉志摩市長がそれぞれ協定書を交わした。鈴木市長は「高齢化で公共交通機関の重要性が増す一方で、働き方改革などのため運転手不足が課題。スクラムを組んで住み良い環境づくりに取り組みたい」と述べた。田端社長は「運転手不足は年々厳しさを増している。観光需要が増える中、不足を解消できるよう、一人でも多くの方が活躍してくれることを期待する」と話した。

同社は昨年、桑名市と同様の協定を結んだ。ほかの自治体とも協定締結に向け調整を進める。