2024年1月15日(月)

▼安倍晋三元首相がもし健在だったら、という観測記事があった。歴史では「もしも」はナンセンスとされるが、先の命題の回答である「(東京地検特捜部は)まず手を出せなかった」いうのはおもしろかった

▼自民党の最大派閥、安倍派(清和政策研究会)が元首相のもとで結束していたら、逆に検察が徹底的に追い詰められ、窒息状態にされていたというのである。相手が大物ほど燃えるのが検察とも言われているのでにわかには同調できなかったが、同派の実力者「5人組」や事務総長経験者ら幹部議員の立件を見送るという報道に不明を恥じる

▼自信満々でかたっぱしから実力者らを事情聴取し、要職辞任に追い込んだが、客観的な証拠が乏しいとか、派閥の会計責任者との共謀を問うのは難しいなど、いまさらの理由で矛を納める気らしい。竜頭蛇尾。自民党・政府の激震に腰が引けたか。ここは一番、恩を売っておくのが上策と判断したか

▼リクルート事件では、中曽根康弘元首相を本命として取り組んだが、ガードが堅くて藤波孝生元官房長官に狙いを変えたとされる。無理筋の立件である疑いは今も指摘されるが、なりふり構わぬ検察の転進は何も裏金問題に限らない

▼障害者郵便制度悪用事件では証拠改ざんして村木厚子厚労省元局長を逮捕した。小沢一郎氏秘書の供述調書では当人が録音した内容との相違が問題となった

▼大川原化工機事件は起訴してから取り消した。その控訴審への対応が裏金問題から撤退させたと言われても仕方ないほど、検察への不信は強まる。