伊勢空襲「忘れられない」 語り部が体験談、厚生中生徒ら耳傾ける 三重

【生徒らに伊勢での空襲体験を語る横山さん=伊勢市の厚生中学校で】

【伊勢】太平洋戦争末期の伊勢空襲を体験したお年寄りから話を聞く平和学習が14日、三重県伊勢市の厚生中学校で開かれた。

市内在住の80代の5人が語り部として来校。1―3年生の約300人が学年や学級に分かれ、語り部の体験談に耳を傾けた。

昭和20年7月29日、伊勢は大規模な空襲に見舞われた。当時10歳だった横山公子さん(88)=同市常磐町=は、「78年前のあの日は一生忘れられない」と語り始めた。家族と離れ逃げた防空壕の中で、「真っ赤な空が見え、誰かが『ここにいたら蒸し焼きになる』と叫び、逃げ出した。高台の寺に逃げ、町が燃えるのを見つめるしかなかった。今も花火を見ると、トラウマで震える」と語った。終戦後も飢えに苦しんだ経験を話し「今また、世界で争いが起きている。あんな経験は誰にもしてほしくない。私たちにできることは声を上げること」と呼びかけた。

体験談を聞いた3年生の北井さらさん(14)は「リアルな経験を初めて聞き、つらくなった。私たちの世代が、平和について考え、戦争はだめだと声を上げていかなければと思った」と話していた。

平和学習は、平成23年に始まった取り組み。コロナ禍で4年ぶりに開かれた。