【伊勢】三重県伊勢市二見町江の太江寺にある手水(ちょうず)舎が、インターネットを通じたクラウドファンディング(CF)で建て替えられた。
手水舎は、参拝者が参拝前に手などを清めるための手水鉢を覆う建物。永田密山住職(66)によると、同寺の手水鉢は、鎌倉時代の供養塔「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」の台座をくり抜いて造られた歴史あるもので、かつて伊勢神宮の神事で使われていた水と同じ水源の水が引き込まれているという。
その鉢を覆っていた手水舎は、半世紀以上前に建てられたもので、屋根や柱の腐食が著しく倒壊の恐れがあったため建て替えを決め、費用の一部は、永田住職の次女の提案でCFで募ることにした。2月から開始したところ、CF以外の寄付も集まり、約2カ月間で目標額の250万円を上回る450万円余りが寄せられた。新しい手水舎は、ヒノキ材を使用し、屋根は以前の銅板から瓦ぶきになり、鉢を覆っている。
先月、建て替えを祝う落慶法要が営まれ、寄付をした人や地域住民らが参列した。永田住職は「全国各地、思わぬところからも寄付をいただき、寺が多くの人に支えられていることを改めて感じた。歴史ある手水鉢と鉢を守る手水舎を大切にし、後世に伝えていきたい」と話した。